ものが2重に見えるのは乱視とは限らない!?
私は小学校高学年の頃から右目が乱視になり、メガネをかけなくても日常生活ではそれほど支障もないレベルなのでずっと裸眼で生活してきました。
最近では子供の頃よりも乱視が悪化しているのか、それとも少し近視が入っているのか…「そろそろメガネをかけないといけないかな~、どうしようかな~」と迷っています。
さて、「ものが2重に見える」からといって必ず「乱視」とは限らないのです。このことは以前、糖尿病ブログにも記事にしたことがあります。
https://www.xn--swq920ipfh.com/pathologic-diplopia/
上はその時に描いて記事に載せたものです。乱視の場合は片目で見てもダブって見えますが、両目で見たときだけダブるのは乱視が原因ではないんです。
じつは、糖尿病神経障害が原因でものが二重に見えることがあるんです。タレントで糖尿病患者のグレート義太夫さんもかつて、この現象を経験なさったそうです。
なぜ糖尿病神経障害でものが二重に見えるのか、そして糖尿病神経障害でものが二重に見えるという症状は治るのか気になりますよね。
糖尿病神経障害で外眼筋が麻痺して複視が起こる
眼球のまわりには6つの筋肉があり、これらをまとめて「外眼筋」と呼びます。外眼筋は眼球を動かし、向きを変える働きを持っています。
外眼筋を支配している神経のどれかが糖尿病神経障害になると、左右の眼球運動のバランスがくずれて複視(ものが二重に見える、この場合は両目で見たときに二重に見える)が起こります。
たとえば6つの外眼筋のうち右目を外側へ動かす筋肉の動きが悪くなると、正面や左を見るときは一つに見えていますが、右を見たときには二重に見えるようになります。
「複像検査」という検査で、どの外眼筋が原因でどれぐらい目にうつる像がずれているかを調べることができます。
糖尿病神経障害が原因で起こる複視は、血糖コントロールをきちんと行えば数か月~半年ぐらいで自然にある程度改善することが多いそうです。
またビタミンB12製剤といくつかの薬の処方によってわずか1か月で症状が消えた患者さんもいらっしゃるとか。
ビタミンB12には神経を健康に保つ働きがあるのですが、糖尿病薬のメトホルミンを長期服用している方や菜食主義の方でビタミンB12が欠乏することがあります。
ある病院では14人の患者さんを最大2年間観察したところ、10名の方が完全に治ったそうです。完全に治るところまではいかなくても、かなり改善する方は多いようです。2年と言わず5年…10年かけて少しずつ治っていく方もいらっしゃるかもしれませんね。
複視は糖尿病が原因とは限らない!
糖尿病患者だからといって、複視が糖尿病神経障害のせいで起きているとは限りません。脳梗塞や脳腫瘍など、他の病気が原因で起こることもあります。
糖尿病神経障害が原因であれば自然に回復することが多いですが、そうではなかったり他の症状(目の痛み、頭痛、歩行困難、手足のしびれやめまいなど)を伴う時は原因を詳しく調べてもらうべきです。
明らかに目がおかしい!と自分で気づく方もいらっしゃいます。自動車を運転中に「片目が動かない!?」と感じて病院へ行った方もいらっしゃるそうです。
でも軽度の場合は「乱視が悪化したのかな」と思ったり「年を取ったので目がかすむのだろう」などと思ってしまうこともあるでしょうね。
ものが二重に見えるからと言って糖尿病が原因とは限らないので、変だなと思ったら主治医に相談して早めに原因を調べてもらったほうがいいですね。
糖尿病神経障害が原因であれば、時間の経過とともにかなり改善する方が多いので血糖コントロールを頑張りましょう。